2024年9月16日月曜日

DDCとNDCの世界観

以前、このブログで、NDCの宗教の分類の中に、神道とキリスト教、仏教が同列に並んでいて、イスラム教はその他の扱いになっていることについて触れました。

そもそも、DDCは、キリスト教に根ざす近代欧米社会の世界観を体現しています。文学や言語に関しても、アラビア語・アラビア文学というのはその他扱い。ヒンズー教も同様。

これは、欧米社会が、長い間イスラムの存在を無視してきたことの現れだと思います。長年、普通の欧米人の意識の中にはそんなものは存在していなかったのでしょう。

9.11以降、イスラム教過激派によるテロが強く意識されるようになったと思います。存在が意識されるようになったのはいいのですが、まるでイスラム教徒はみんなテロリストであるかのような扱いがなされることもありました。

こうした現実を作りだした原因の一つは、そうした欧米人の意識構造にあると思います。過激なテロの背景にあるのは、経済的な困難や、圧倒的な力の差、世界から見捨てられているという被害感情です。テロは絶対的な悪であるかのように叙述されることが多いですが、それを作りだした欧米中心の近代世界の責任を忘れてはいけません。

ひるがえって日本はどうか。かつて、大東亜共栄圏なんてものをぶち上げた時代がありましたが、本当にアジアのことを考えてのことだったでしょうか。たぶんそんなことはつゆほども考えられていなくて、要するに日本がヨーロッパの旧宗主国に取って代わって、アジアの宗主国になるんだという発想だったと思います。そこでどんな宗教が信じられているかなんて、どうでもよかった。

NDCが最初に作られたのは、その少し前になりますが、DDCの欧米中心の世界観をそっくりそのまま受け継いでしまいました。その後、大きな変更はなされていません。数日前に触れましたが、日本図書館協会には、そういう改変を行う気はさらさらないように見えます。

本を並べる上では、キリスト教と同列だろうが、その他の扱いだろうが、困りはしないでしょうが、世界をどう捉えるかという点では、これは大問題です。

図書館員にとってはただの記号の並びであっても、そこに来る普通の人たちにとっては、そうではありません。私にとっては、これこそが、NDCで一番受け入れがたい問題点です。

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