School Library Rover
学校と学校図書館作りにまつわるいろいろ 手作りによる図書館改造を中心に
西海市立S中図書館
2025年6月20日金曜日
「AIによる概要」の不確かさと教育の未来
調べたらそうなっていましたと言うので、その生徒の画面を見たら、AIのまとめのところに、確かに「季語は突き手」と書いてあります。
それを再現しようと思って、後から私が検索したら、同じものは出て来ず、「季語は冬」とまとめられていました。
私の想像ですが、生徒がYahoo!知恵袋あたりをうろうろしているうちに、「突き手」と「冬」の関連が出てきて、そこらをAIが結びつけて判断したのではないでしょうか。
ちなみに、私の検索で出てきた概要には、次のような説明がありました。
「この句は、立冬(11月7日頃)の季語として使われることが多いです。」
「『冬に入る』や『冬来る』といった直接的な表現ではなく、『冬が来る』という言葉を使うことで、より自然な印象を与えています。」
どちらも、一見もっともらしいことが書いてあるように見えますが、実は意味をなしていない文です。どうやら、このAIは、「俳句」や「季語」のことをよく理解していないようです。「冬が来る」も「冬来る」同様、極めて直接的な表現で、解説文が何を言いたいのかよく分かりません。
最近、ネットで検索すると、多くのことに、こうしたAIによる回答が出てきます。たくさんのページを渡り歩かなくても、そこだけで解決する問題も多くあります。いろいろ調べなくても、そこに簡潔なまとめがあれば、わざわざ紙の辞書を持ち出すまでもないと考える生徒が、圧倒的多数になるのは仕方がありません。複数のページを読み比べて考えるなどという面倒なことも一切しなくてよくなりました。解説文の意味が鮮明でなくても、コピペで答が書ければ、十分でしょう。
これは、多くの生徒にとっては朗報です。しかし、教師にとってはどうでしょうか。少なくとも、生徒が何か能動的に調べ、その活動を通して自発的な思考を促すといったことには極めてなりにくい時代になってしまったように思います。パソコンの利用を強く推奨しておいて、一方でそんな安直な使い方をするなと言っても、説得力に欠けます。
教育にICT機器を率先して取り入れてきた先進国の中には、紙の世界に戻ろうと方向転換したところも出てきたと聞きます。本来は学力の質の向上を目指していたはずのものが、学力の低下を招いてしまっているという実態がその背後にあるのではないでしょうか。
我が国も、早くそうした方がいいと思います。しかし、もうすでに手遅れなのかもしれないとも思います。もともと、近代の産業社会は、コスパ・タイパを追究する世界です。文字通り、時は金なりなのです。そんな中で、図書館で重たい辞典を引っぱり出してのろのろ調べ物をする方がいいんだと言ってみても、年寄りの繰り言にしか聞こえないかもしれません。
2025年5月30日金曜日
司書・教員の不足
今年度の市内の司書の配置状況を見たら、司書が配置されていない学校が数校ありました。この世界も人手不足のようです。
教員の方は、慢性的な不足の上に、採用試験の倍率がどんどん下がってきていました。その対策として、採用試験の実施時期を前倒しした結果、今年度は倍率が上がったなどと県は嬉しそうに言っていますが、本県が第一志望でない人の数が増えただけで、実質的にはあまり変わらないだろうと思います。合格しても逃げる人が増えるだけなら、何のための前倒しか分かりません。
全国的にも、国が前倒ししてよいと言ったのにも関わらず、実際にそうした県は少ないのですが、本質的な改善には結びつかないことがどこも分かっていたからだろうと容易に想像できます。
根本にある問題点の第一は、待遇だろうと思います。本市の学校司書の給与は、自立して一人で生活して行くには圧倒的に足りません。それで複数校の面倒を見なければならない。余裕のある仕事はできそうにありません。(だから本の装備は業者に任せましょう。)
教員の方は、元々、残業手当や休日出勤の手当が付かない仕組みで、昨今、せっかくそれが改められようとしていたのに、結局、教職特別手当は残ってしまいました。この手当は、あくまでも突発的に起こる時間外勤務を対象としたものです。こういう手当を付けただけで、教員に毎日勤務時間の外で部活動の指導をさせるのは、労働基準法に違反しています。そんなことは、この制度ができたときからみんな分かっていたことですが、一向に改善されません。
特別手当の額は増やすことになりましたが、財務省の差し金で、毎年1%ずつ上げていくということになりました。一気に10%に上げてくれれば、もらう側も給与が上がったと実感しやすかったのにと思います。せっかく上げるなら、インパクトのあるやり方を取ってほしかったです。(実は、10%というのはトリックで、4%だったものが6%増えるということです。それをちびちび上げていこうというしみったれた政策です。)
そもそも、国として教育にかけるお金を増やす気がない。教育予算が、OECD加盟国中最低レベルでも、一向に気にしない。学校がブラック職場だと世間に知れ渡った上で、今後も、待遇はよくなりそうになければ、志願者が増えるわけもないと思います。
2025年5月29日木曜日
購入図書の装備の外注
今年度から、市内の小中学校に納入される図書の装備を、市内の3書店が一緒になって作った会社に委託することになったそうです。
過去には、そうした仕事は、学校ごとに交渉して、おおむね書店のサービスとして行われていました。そうしたやり方は、書店の利益を損なうので、好ましいものではないことは、今までにも何度かここに書いたことがありました。
それがちゃんとした対価を払ってできるようになるのは、結構なことだと思います。
若干納品が遅くなるのかもしれませんが、司書一人が複数校を担当する現状に鑑みれば、それは甘受するしかありません。装備なしという選択もできるようなので、一刻も早く並べたい学校は、覚悟を決めて自前でやるしかないですね。私が現役だったら、そうしたかもしれませんが、決してお勧めはしません。
追記
図書のフィルム掛け等に要する時間は1週間程度のようです。それくらいなら私でも頼もうと思います。
2025年5月15日木曜日
金曜ロードショーとジブリ展(長崎県美術館)
書き込みをずいぶんさぼってしまいました。ネタはいくつも思いついていたのですが、実際にこのページを開いて、新規の書き込みをするという気力が薄れてしまいました。
昨年度までは常勤で働いていたのですが、4月からは、時間講師となりました。時間だけはたっぷりあるはずなのですが、身体の動きが鈍くなって、いろいろなことをゆっくりゆっくりこなしています。
3月末に、ちょっとした病気で入院し、それが応えました。病気は大したものではないし、日常生活に不自由はないのですが、身体全体が、まだ手術前の状態には戻っていません。あるいは、もう戻らないのかもしれません。
今日は、仕事を終えて、午後から、長崎県美術館に行ってきました。展示のほとんどは、ジブリのアニメの簡単な紹介と、金曜ロードショーとの関わりの解説でした。紹介されている作品には、少しだけ絵コンテの実物が添えられており、見るべきものはそれだけかという印象を受けました。
解説を極めてざっくりまとめると、ジブリ作品が世間に広まったのは金曜ロードショーを通してであり、その後の発展も、日本テレビのおかげなんだということになるでしょうか。そこらあたりの詳しい事情は知りませんが、本当なんですか?
娘たちがまだ小さい頃、ジブリ作品のビデオを何本か持っていました。『トトロ』や『魔女の宅急便』は、娘と一緒に何度も観ました。昔のものは文句なしに楽しかった。『もののけ姫』あたりから、作品に込められたメッセージが少し鼻につくようになったと感じていました。その後も、作品ごとに出来不出来の波はありましたが、楽しめる作品がたくさん作られたと思います。
年を追って作品を紹介し、それに添える展示として、その年に流行ったものを実物で並べてありましたが、年寄りなら、ノスタルジーを少しはかき立てられたでしょうか。
文字中心でワンパターンの展示が延々続いて、これはあんまりだと思い始めていたら、最後の方に、著名なアニメの有名場面の原寸大模型がいくつかあって、係員が写真を撮ってくれたりしました。
展覧会のタイトルにジブリの文字があるので、子ども連れの見学者も多いと思いますが、子どもが楽しめる展示は少なかったと思います。
展示のやり方でどうかと思ったのは、入口を入ったところに、5分ほどのビデオがかかっていたことです。会場全体に、後戻りはするなという指示があります。それでなくても、取りあえずそのビデオは見ていこうとほとんどの人が考えるでしょう。ところが、そのスペースは十数人でいっぱいになるくらいの広さしかなかったのです。
平日なのになかなかの人出でしたが、休日などは、この入口で詰まってしまって、人が流れなくなるでしょう。行っていないですが、評判の悪い大阪万博を思い出しました。主催者側の考えが浅薄で、余計な渋滞を作ってしまっているように思うのです。
最近の飲食店では、わざと行列を作らせて繁盛しているように見せる行列商法なるものもあるようで、勘ぐればその類のものかもしれません。
ともかく、子連れで楽しもうと思っている人にはお勧めしません。ジブリのファンであっても、これを見逃したからといって残念に思う必要はないと思いますよ。レンタルビデオ屋もめっきり少なくなりましたが、どこかで一つ二つ作品を借りて家で見る方が、よほどジブリの世界にひたれると思います。
2025年2月22日土曜日
長崎県公立高校入試問題(国語)の時代錯誤性
先日、長崎県の公立高校の入試がありました。事前に、今年度から傾向が変わるという通知が県からなされていましたが、国語に関して言えば、あまり変わったところはありませんでした。ただ、記述の問題の字数は大幅に増え、最大では、100字以内という設問もありました。
問題の出し方は、むしろ今までと同じパターンのものばかりで、事前の告知は何だったのかと思ってしまいました。
しかし、何より驚いたのは、小説の問題文です。3人の若い女性が、一緒にバレンタインデーのためのチョコレートを作るという場面が抜き出されていました。
その小説全体を読んでいないので、作品の価値を論ずることはできませんが、よりによって、こんな場面を使うなんて、県教委のジェンダーに関する意識の低さに唖然としました。
これが微笑ましいと感じられた時代もあったと思いますが、急速に時代は変化しました。ジェンダーによる固定的な役割分担意識については、少なくとも学校では消えつつあると思います。性の多様化の時代に、バレンタインデーですか?県教委さま。
2025年2月11日火曜日
ブルートゥース接続のバーコードリーダ
蔵書点検などの作業が楽にできるように、ブルートゥース接続のバーコードリーダを買ってもらいました。
最初は、本体(写真の下の方)だけ買ってもらったのですが、管理システムを入れているパソコン(Windows 10)には、ブルートゥースの機能が付いていませんでした。
そこで、USBポートに差し込んで使える、ブルートゥースの受信機を買ってもらいました(写真の上の部品)。
ところが、パソコンがリーダーの信号を認識してくれません。スマホとは接続できたので、受信機の故障ではなさそうです。
このリーダーには、スイッチを入れたり切ったりするためと、読み込みを開始するための共用のボタンが一つだけ付いています。取り扱い説明書は極めて簡単な内容で、繋がらないときどうしたらいいのかなんて書いてありません。
これは厄介なことになりそうだと思いながら商品の箱を見たら、取説とは別に、バーコードがたくさん印刷された紙が入っていました。様々な設定は、そのバーコードを読み込んで行うようになっていました。その中に、ペアリングというメニューもあって、それを読ませることで接続できるようになりました。
離れた場所でコードを読ませて感度を試したところ、普通の広さの学校図書館なら、問題なく繋がると思いました。隣の部屋になると難しいようでした。
問題は、読み込んでエラーだったとき、パソコンの画面を見ないとそれが分からず、そのまま次の本のバーコードへ行ってしまうと、読み込みが無効になってしまうことです。それを避けるには、パソコンの画面が確実に見えるところで作業するしかありません。
そうなると、点検などの場合は、いったんタブレットか管理用とは別のPCにデータをためて、後からそのデータを管理用パソコンへダウンロードする、というのがいいやり方ということになるかもしれません。
追記
最後にあげた点ですが、管理ソフトにエラー音の設定があって、それでデータがエラーだったことが分かります。PCの音を消していたという単純なミスでした。あしからず。
2025年1月16日木曜日
コンクリートの壁に穴をあける
コンクリートの壁に穴をあけるには、専用のキリと、下穴に打ち込むプラグが必要になります。