道徳が、他の教科と同等の扱いになったのは、2015年度からでした。このときは、学習指導要領の一部改訂でしたが、その後全面実施となり、道徳の教科書が作られることとなりました。いったいどんなものができるのだろうと思っていたら、多くは、それまでに使われていた道徳の資料集を焼き直したものでした。
教科になる前から、学習指導要領によって道徳の授業の内容は細かく定められており、それに沿った資料を探すのに手間がかかるため、いくつかの出版社が、学習指導要領の規定に沿った資料集を出していました。とりあえずそれに沿って道徳の授業を進めれば、求められている内容項目の全てをクリアできた訳です。多くの学校がそれを使っていました。
教科になったために、道徳は評価をしなければならなくなったのですが、その点を除けば、道徳の授業でやることは、2015年の前と後に、大きな違いはありません。なぜ教科にしなければならなかったのか、ちょっとネットで検索すると、いじめの増加を始め、いろいろな御託が並べてありますが、授業実施の実態があまり変わっていないのですから、そうした御託にほとんど意味はありません。
道徳の教科化を主張した人たちは、(好意的に解釈すれば)実のある改革をしたかったのだろうと思いますが、実際は、何も変わっていません。いじめの件数も増えるばかり。いじめの件数のグラフを見ると、皮肉なことに2016年度に急増し、その傾向がずっと後まで続いています。
実はこれも、安倍政権の残した、見てくれだけの無益な改革の一つなのでした。教師の仕事を増やしただけの。
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