お隣の中国では、政治的な問題について、権力を持つ中国共産党の公式見解と異なった意見を述べることは許されていません。何が正しいのかを決めるのは党(あるいはそのトップ)で、学校教育の中でもそれは徹底されています。
第二次世界大戦で、日本が中国に対してどんなにひどいことをしてきたか、なんてことは、中国人にとっては常識でしょう。それにもかかわらず、中国からの観光客はピーク時3500万人を超えていたそうです。高市さんの台湾有事発言の影響で、中国は、日本は危険だから行くなというキャンペーンを張り、渡航を控えるよう圧力を掛けたため、ぐっと数が減りましたが、隙あらばすぐにでもまた復活しそうな気配が濃厚です。
口には絶対出しませんが、政府が言っていることが必ずしも真実とは限らないと、みんな分かっているのだろうと思います。
この事態は、中国の政治教育の失敗とも言えるのではないでしょうか。
翻って、日本。右寄りの人たちの一部は、日教組が子供たちに政治教育をしていて、このままでは日本が社会主義国家になりかねないと言います。しかし、戦後ずいぶん時間が経ちましたが、革新系の政党が政権を取ったのは、例外的で、ごくわずかな期間に過ぎません。
日教組が、過去に、かなり偏った教育をしていたのは事実だろうと思います。私自身も、小学校6年生のころ、組合員だった担任から、スーパーの肉売り場などが映ったソ連の宣伝ビデオを見せられ、ソ連は(貧しいわれわれ日本人とは違って)とても豊かで、肉をたっぷり食べていると教えられた覚えがあります。それが政治的プロパガンダとして作られたもので、事実とはまったく異なる内容だったと分かったのは、それから何十年も経ってからでした。
日本では、保守政権がずっと続いてきました。日教組が、もし政治革命を目指して教育活動をしていたのなら、それは大失敗だったということになります。
道徳教育を強調したがる政治家もそうですが、右翼・左翼を問わず、こういう人たちは、人間存在を単純に捉えすぎていると思います。子どもに、学校教育を通して何かを注ぎ込めば、すぐその色に染まるはずだと信じて疑わない。知識偏重の教育観とも重なる考え方です。
中国が、あまり生きやすくない国であることはたぶん確かです。外国に留学するなどしていても、政府の締め付けは強くて、だから、中国が世界中から批判されるような事態が起きたときには、その批判を批判する強力なデモが起きたりします。そういう風に振る舞っておかないと、国に戻ったときにやりにくくなるのだろうと、私は勝手に想像しています。
先頃、国旗損壊罪というのが成立したそうですが、国旗と言えば、私は、国が主催した研修会での風景を思い出します。全国から教員が集まった会場の壁に、国の職員が、こともあろうに、茶色のガムテープで国旗を貼っていたのです。
国旗に対して、私はそれほど特別の思い入れはありませんが、これにはあきれてしまいました。日本では、普通の人の国旗に対する思いはこの程度のものなのでしょう。そんな中で国旗損壊罪という法律を作ったところで、国民の国旗に対する感覚が変化するわけではありません。罰を設ければ国旗を尊重するようになるという発想は、教育を政治思想を注入する便利な手段と考える思想と同じ程度に単純です。
こうした政治的流れを見ると、日本の政府がお隣の国と似たようなことをやり出す可能性は十分あると思います。そうならないことを強く願っています。