高市さんの勇ましい発言以来、中国は日本に対して様々な制裁を続けています。アメリカからの援護射撃はなくて、むしろ発言をたしなめられたのではないかと思いますが、発言を引っ込めることはありません。右寄りの人からは、よく言ったと拍手喝采。中国なんかいなくても日本は大丈夫だ、むしろそっちの方がよいという声が聞かれるようです。
こういう意見は、ネトウヨ界隈では受けがよいでしょうが、そもそもの出発点のところで、現実を見ていない発言です。公表されている日本の対外貿易額の推移を見ると、20年前から対中貿易が第一位です。全体の20%を占めています。対アメリカは15%で二位。三位はオーストラリアで5%となっています。日本の経済は、中国とアメリカ相手の貿易で成り立っているのです。
トランプさんがどんなに理不尽な要求をしてきても、じゃあアメリカとの貿易はもうやめようという訳にはいきません。もちろん、中国も同様で、これから依存度を減らすという方向に向かうとしても、今すぐに関係を断つわけにはいかないのです。
私は、経済についてはまったくの素人ですが、こういう数字が示す事実を認識すれば、中国人は日本から出て行った方がよいといった類の単純な議論は、取り上げるに値しないということはすぐ分かります。
中国が台湾に軍事侵攻するかどうか。現実にはなかなか起こりにくいことだと思います。万一それが起きたとしても、おそらくトランプさんのアメリカは介入しません。日本はそれに単独で介入できる軍事力を持ちません。現状でも自衛官は不足しています。いくら国防予算を積んだとしても、すぐにそんな力を得ることはできません。国土のすぐ近くで起こることで、日本にとってはありがたくない事態ですが、米軍基地や日本の領土が直接攻撃されない限り、中国と台湾の間のトラブルに軍事的に介入する理由もありません。もちろん、台湾侵攻に際して、中国が米軍や日本を攻撃する必要もまったくありません。
高市さんは発言を撤回していませんが、その後、政府見解は以前と変わっていないと繰り返されているので、事実上撤回したのと同じです。それなのに、高市発言でさも中国に一矢報いたかのように騒ぎ立てている人たちの心理の根底に何があるのか、よく分かりません。
私の父親の世代(私の父は大正末年の生まれです。終戦時20歳。)には、中国人や韓国人に対する強烈な差別意識がありました。その意識は、近年だいぶ薄くなってきたと思っていましたが、まだ根強く生き残っているのかもしれません。
