少し前に、この事故の一番の原因は、小さな船に定員一杯の人数を乗せたことだと私は考えると書きました。他のいろいろなことは措いて、海に出て行く構えが甘かったとしか言いようがないのです。
もう一つ気になったのが、事故直後の対応です。海上保安庁への通報が複数あったようですが、それは、みんなこの船に乗っていた高校生からのものだったというのです。高校生が、あらかじめ保安庁の118番という電話番号を知っていたわけではないでしょうから、スマホで検索するなどして調べたのでしょう。
2艘のボートのうち、1艘が転覆した後、もう1艘がそれに気づいて、引き返して救助に向かったと言う経緯にも問題を感じます。
救助する力もないのにそれをしようとしたという地元の漁師のコメントがニュースで流れていましたが、とりあえず引き返そうとしたこと自体は非難できないと思います。しかし、転覆に気づいた後、最初に船長がなすべきだったのは、海上保安庁への通報です。それが海の上での常識です。
報道によれば、これらのボートが出ていくとき、保安庁のボートから制止され、それを振り切って出かけた直後の事故だったので、保安庁の船は、それほど遠くないところにいたはずです。事故後すぐに通報していれば、経過は変わっていたかもしれないと思います。
うがった見方をすれば、(その日だけでなく、たぶん日頃から)保安庁の言うことに従っていないので、通報したくなかったのだろうと思ってしまいます。
海上保安庁は、遭難した人が誰であれ、全力で救難に当たります。普通の人が転覆事故が起こるような海況の中で救助に当たるのは、極めて困難です。事故が起きたら、一刻も早く通報すべきなのです。このボートの船長に、海の上での営みに携わる者としての心構えが足りなかったと思うゆえんです。
この事故を政治的に捉える人が多いようですが、政治的立場を云々する以前の問題だと私は思っています。