最近のTVニュースで長時間取り上げられたのは、京都の義子殺害事件が圧倒的でした。今月に入ってからは、高校の部活の遠征中の事故について。いずれも、関係者や識者や、野次馬にしか思えない人の発言も含めて、繰り返し、微に入り細にわたった報道がなされていました。こういう報道のあり方には辟易させられますが、テレビ局のあり方は相変わらずです。
交通事故の方は、学校側と、バスを手配した会社側の見解が相違するということで、学校が費用を安くあげようとして、生徒の命をないがしろにしたかのような報道もありました。
学校と業者の間で実際にどんなやり取りがあったかは知るべくもありませんが、顧問が、業者になるべく安くお願いしたいと言っていたとしても、そこは責められないと思っています。遠征の費用を負担するのは保護者なので、それがいくらになろうと知ったことではないとは、多くの教員は考えないだろうと思います。安くしてくれと頼むとしたら、差額を懐に入れて金儲けをしようというのではなくて(そういう輩がまったくいない訳ではないでしょうが)、できるだけ保護者の負担を減らしたいというだけのことでしょう。安全性について意識が浅かったと言われれば、反論のしようもありませんが。
業者との口約束でバスを借り上げ、見積もりも取っていなかったという点も、日頃の仕事の進め方としてはありがちなことでしょう。学校が必要とする、一つ一つはそんなに利益の上がらない仕事に関して、いつも程よい価格で引き受けてくれる、バスが(あるいは予算が)足りないときにはレンタカーを手配してでも何とかしてくれたりもする業者の存在は有り難くて、口頭でまたお願いしますと言ってその業者を使い続けるのは、大いにあり得ることだと思います。契約の仕方としてはまずくて、さらに白バス利用という法的にアウトなやり方になりかねない点は否定できませんが。
全国の部活動の指導者にとって、今回の事故は頭の痛い出来事だったことでしょう。今まで見ないふりをしてきたことが、白日の下に晒されてしまったのですから。
このようなことがまかり通ってきた背景には、日本の学校教育が抱える、スポーツ至上主義とでもいうべき、大きな歪みがあると思います。そして、世の中全体が、そういう運動部の存在を望み、維持してきたのだと思います。そのために、教員は、ちゃんとした時間外手当や休日出勤の手当もなしに部活動(特に運動部)の指導を続けてきました。
運動部を指導することは、学校の中では学習指導よりもはるかに重要視されてきました。部活動でそこそこの成績を残せば、学校の名前は上がるし、進学にも有利に働きます。就職の際も、運動部出身者は重宝されてきました。教師の中にも、学習指導はそっちのけで部活動の指導にいそしむ輩が多くいました(現在はだいぶ減ってきたと思います)。
私は、中学校の教員ですが、高校でしばらく働いたことがあります。県内有数の進学校でしたが、特別推薦枠で、全国大会レベルの運動選手が入ってきたことがありました。勉強は元々苦手な生徒でした。おまけに、そういう選手は、遠征や対外試合が多く、まともに授業に出られません。試験では点数が取れず、いつも追試。それでも点数は十分ではなくて、レポートなどでかろうじて単位を出してもらっていました。学習面では通用しないことが分かりきっている生徒を、推薦という制度を利用して、公立の学校がなぜ連れてくるのか、私には理解できませんでした。
強いスポーツチームを作りたいというなら、それは、学校の外でやるべきことだと思います。学校とは切り離された場所で、地域クラブとして活動すべきでしょう。学校教育活動は、勤務時間の中で実施できるものに限らないと、教員の長時間労働の問題は解決しません。また、学校の本来の役目である学習指導を中心に据えないと、これからの学力向上など望むべくもありません。