印象に残った「本」というより、「図書館員」ということかもしれません。ナンバーワンは前川恒雄さん。次はこの人。どちらもお会いしたことがあるわけではありません。その文章からインパクトを受けたということです。
西田さんは、前川さんが滋賀県立図書館長だった頃に、八日市市立図書館の建設のために呼ばれてしばらく館長を務めた人です。その設立の経緯から退職までのさまざまな出来事を綴った通信をまとめた一冊。
実務的な話も参考になりますが、愛犬のことや、図書館を取り巻く自然のことなどの記述に西田さんの人柄がしのばれます。
中でも印象に残ったのは、15万円をはたいて購入したというゴリラのぬいぐるみのエピソードです。その中に、こんな言葉がありました(以下引用)。
温かさと安らぎを感じさせる、そういう図書館づくりこそやってみたい。スマートになりすぎた図書館に職員の手づくりの展示架がおかれたとき、私はそのことの大切さをあらためて思い知らされていた。ほっとする空間、そのなかでこそ人びとは自分の必要とする本に出会うことができる(この部分は、『子どもと読書』岩崎書店、1989からの転載)。
他には、子どもたちからの「前の(小さな)図書館の方がよかった」という批判を受けて、絵本コーナーに司書のデスクを置いたなんて話もありました。
図書館員として学ぶところも多いのですが、読んで心温まる一冊でした。
ちなみに、西田さんは、「脱NDC」のことも考えていたそうですが、そのことはまた別に書きます。
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