西海市立S中図書館

2024年8月13日火曜日

アイリーン・ルスティック『リッチランド』2023(ドキュメント映画)

長崎に落とされた原子爆弾は、プルトニウムを使ったものでした。リッチランドは、プルトニウムを製造するハンフォード・サイトで働く人々のために作られた町だそうです。長崎の原爆にもそれが使われました。

作られたと言っても、その前から、人口数百の小さな町はあったようです。また、その周辺の広大な土地には先住民がいて、その人たちは騙されるようにして土地を追われたそうです。また、この町には、ほとんど白人しか住んでいないとのことでした。

この町にある高校のシンボルマークはキノコ雲で、少し前にそのことが日本で話題になりました。そこに留学した日本人の高校生の訴えが発端でした。

町の人たちの圧倒的多数は、キノコ雲を誇りに思うと言うのですが、個々に話を聞くと、放射線被曝の不安を持っていたり、町のそばを流れるコロラド川の魚を食べるのに抵抗を感じていたりするのでした。(金のために)魂を売ったと非難された人も登場しました。

何かが絶対的に正しいとか、間違っているとか言わずに、現実の持つ複雑な襞をていねいにていねいに追っていった作品です。残念ながら上映期間はほぼ終わってしまいました(それに気づいて、慌てて観に行ったのでした)。

映画の中で、ある高校生が、真珠湾攻撃で死んだアメリカ人は2千人だと言っていました。広島と長崎の原爆では、合わせて20万人以上の人が死んでいます。もっとも、第二次世界大戦全体では、4~5千万人の人が死んだそうです。気の遠くなるような数字です。

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