新書はよく読みますが、岩波新書は久しく読んでません。ほんと、久しぶりでした。
いつの頃からか、岩波書店・朝日新聞というラインに偏見を持つようになりました。きどってて、お堅い。それに、岩波新書は、新書の仲間では、活字が一番読みにくいと思います。
あと、いまだに岩波だけ買い取り制でしょ。これは、ずるいし。おかげで地方の小規模な書店からは岩波のものは消えてしまいましたよ。
ただ、藤原さんの『世界の教科書でよむ<宗教>』がとてもよかったので、これも読んでみたというわけ。しかも、あとがきには、他の出版社では蹴られた企画を岩波が拾ってくれたとあります。見直しました(単純やなぁ)。
それにしても、我が国の宗教に触れてあれこれ論じるのを嫌う空気が出版界に厳然とあるということですよね。
さて、やっと本題。こちらは、『世界の教科書でよむ<宗教>』と同様に、世界の教科書との比較もありますが、主に日本の教科書(倫理、世界史など)の宗教に関する記述が取り上げられています。そういう意味で、この2冊はセットになっていると言っていいでしょう。
日本のこれらの教科書の多くは、宗教の教科書ではないのに、仏教やキリスト教に勝手にプラスの価値付けをしたり、それ以外の宗教とのバランスを欠いていたり、なぜか神道にはいっさい触れられていなかったり、といった様々な問題点があるようです。
それから、高校の倫理って、文部科学省的には、小・中学校の道徳にあたる科目という位置づけだってこと、今まで見落としてました。
これ読みながら、石原千秋さんの国語教科書批判を思い出しました。小・中学校の国語教科書が、道徳だってこと(『国語教科書の思想』ちくま新書、2005)。
どちらも、私たちが「公正で中立な教育」という名の下に、どのような思想を生徒に与えようとしているかということを鋭くついた本です。教科書の記述がなんであんなにダメなのかということも、よくわかります。
国語科や社会科の教師でなくても、教師だったら必読。朝読書の時間に読みましょう。
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