西海市立S中図書館

2012年9月28日金曜日

トルヴァル・ステーン/マルゴルザータ・ピオトロヴスカ『ちいさなミリーとにじ』やまのうちきよこ訳、岩波書店、1997

私の一番好きな絵本です。


登場するのは、父と娘。あと、猫のソーフスとニジマス。

ミリーは、ある休日、父親と釣りに行き、大きなニジマスを釣り上げます。彼女は、そのニジマスと約束をして、せっかく釣ったニジマスを逃がしてしまいます。

帰り道で、ニジマスとの約束がかなったのか、虹を見ることになります。

ただそれだけの物語ですが、どこまでが現実なのかあやふやな物語の中に、平和で満ち足りた日常が鮮やかに描き出されます。

そして、絵の方も、きれいな色で、かなりシュール。絵の雰囲気と物語の非現実感がぴったり一致しているという感じ。

それから、母の不在は、日本では根源的な不幸として描かれることが多いのですが、ここでは、父と娘と猫で世界は完結しています。

それがかえって災いしたのか、翻訳はあまり読まれてないように思います。絵本の品揃えがいい書店にいっても、なかなか置いてないのでそう思うだけなののですが。

同じ作者の『ちいさなミリーととり』『ちいさなミリーとイルカ』もいいです。

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