西海市立S中図書館

2015年6月8日月曜日

桑田真澄『心の野球 超効率的努力のススメ』幻冬舎文庫、2015

私は、野球にはまったく興味がありません。テレビの試合はほとんど見ません。球技なのに止まっていることが多いし、監督の細かいサインで流れが決まっていくという試合の形は好きになれません。


でも、桑田真澄さんの存在は気になっていました。プロ野球をやめてからの桑田さんです。少年野球の指導のありかたなどに警鐘を鳴らしていたからです。

副題の「超効率的努力のススメ」という言葉に惹かれて読んでみました。

しかし、内容は、主題の「心の野球」の方にウェイトが置かれたものでした。野球は人間性を磨くためのものだそうで...うーん、そりゃそうかもしれませんが...

最初は「努力は量より質」という言葉で始まるのですが、すぐに、努力を重ねることや、表(野球技術)の努力だけではなくて、裏(トイレ掃除や草むしりやお祈り)の努力が大切なことに話が行って、後の方では「毎日コツコツ努力していると、人間はある日突然、成長する。」とか「世界のすべてのものはつながっている。雄大な自然のように、謙虚に、そして堂々と胸を張って生きていきたい。」
といった調子になります。

これって、自己啓発本?

「量より質」の練習内容をもっときっちり書き込んでほしかったです。これでは実践の役にはあまり立たないだろうし、「根性を鍛える」指導に対して「心を鍛える」指導(評者のまとめ)を対置しても、違いが鮮明にはなりません。

若い頃の清原選手のことや、著者にまつわる過去のいろんな騒動の顛末が(やや言い訳っぽく聞こえないでもないですが)書かれていたりして、読み物としてもそれなりに楽しめますが、期待していたものとはちょっと違ってました。

(2010年刊の本の文庫化です。)

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