西海市立S中図書館

2016年6月15日水曜日

稲垣栄洋『面白くて眠れなくなる植物学』PHP研究所、2016

植物についての入門的な本の新刊は、なかなか珍しいかもしれません。


単子葉・双子葉、裸子植物・被子植物、針葉樹・広葉樹といった対の概念は、中・高の理科の時間に勉強しましたが、いつの間にか、進化を進歩と捉える考え方が、普通になっていたような気がします。

それは、例えば、被子植物の方が裸子植物より進歩して優れた生き物であるかのような考え方です。

著者は、6月5日に紹介した、辻信一さん(『弱虫でいいんだよ』)同様、その変化は、生物が取った生き残り戦略の違いで、進んでいるとか遅れているということではないと述べています。

そもそも、植物が「動かない」ことを選択したというのも、単純に、生き物としては変わった戦術であるように思えるのですが、著者の解説を読むと、納得できるものになります。

眠れなくなるほどではありませんが、なかなか面白い知見に満ちた一冊でした。

あえて言えば、「眠れなくなる」というタイトルは、類書が多くあります。こういうタイトルを付けると、よく売れる、ということなのかもしれませんが、ちょっと多すぎませんか。

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