西海市立S中図書館

2017年4月12日水曜日

オープンスペースと学習活動の形

この学校ができてから、30年ほどになります。この頃できた学校は、オープンスペースのある、空間に思いきりゆとりのある設計になっています。

当時、オープンスペースを作ると、国から多額の補助金が出たため、その頃の校舎は必ずこの設計になっていました。

教室の壁は可動式。廊下側に、教室と同じくらいの広さのスペースがあり、壁を外すと、2教室~4教室分の空間が簡単に作れるようになっています。

この設計は、当初から教師には極めて評判が悪かったです。壁が可動式のため、隣の教室の声は筒抜けだし、冬場は風通しがよすぎて寒いのです。

オープンスペースが取り入れられた当初は、廊下側の壁を外したまま使う試みもわずかなされていましたが、どの学校も、すぐに固定の壁と同じような使い方をするようになってしまいました。

日本の学校にオープンスペースが登場したのは、1970年頃だそうです。こんな設計をしたのは、当然、学習活動の形が、固定した教室には収まりきれないものになるべきだという考えがあったからでした。

そういう意識は、50年くらい前からあったことになりますし、国が補助金を出したということは、国も、そうした学習形態の変化を予測し、推奨していたことになります。

しかし、現実にはどれだけ時間がたっても、学習活動の形は変わりませんでした。

教室で40人くらいの生徒を相手に一斉授業をするという形は、ほとんど不変のものであるかのように思えてきます。

本当は、学習の質を変えるために、学習活動の形も変わるはずでした。それがなされていないということは、学習の質が、この50年間、本質的に変わらなかったということを意味します。ゆとり教育でも変わらなかった(ゆとりの時代に何か日本の教育が大きく変わったかのように言う人が多いですが、実際は単に学習指導要領の文字面と、イメージが大きく変わっただけの話です)。

学力向上の掛け声が以前にも増してかまびすしい昨今ですが、結局のところ、知識を詰め込んでペーパーテストで試すというやり方は、本質的に変わっていない。

そうすると、学校図書館の活用というのも、あやしくなってきます。学校教育活動全体が、質の変化を根本から求めていないのであれば、昨今の流行は、単に上っ面をなでているだけに過ぎないのかもしれません。

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