西海市立S中図書館

2019年9月4日水曜日

文字の国

日本語は、漢字・カタカナ・ひらがなと3種類の文字を同時に使うというなかなか変わった特徴を持っています。韓国語も似ていて、私が大学生の頃は、漢字とハングルが混在した表記が一般的でしたが、現在はハングルのみ。

漢字は表意文字であり、文字数が多く、日本語の場合は読みも複数あるのが普通で、習得するにはかなりの時間を要します。

ALTの中には、日本文化が大好きで日本にやってきて、みんな一生懸命日本語の勉強をしているのですが、日本語をすらすら話せるようになっても、漢字では苦労している人が多いようです。

外国人を例にとらなくても、日本の中学生も苦労しています。例えば同音異義語。中国語の音韻体系と、日本語の音韻体系がまったく異なるため、本家では区別されていた発音が日本語では一緒になってしまい、同音語が大幅に増えています。

そのため、発音だけでは意味が分からない場合が多いのです。音を聞いて、いちいち元となる漢字を思い出さなければなりません。

身近なところでは、科学と化学を、「かがく」と「ばけがく」と読み分けているような例です。どちらも「かがく」ですが、音だけでは弁別が困難なため、わざわざそんな言い方が生じました。

教師の立場から見ると、同音語の混乱は生徒の言語運用の中で、頻繁に生じているように思います。

昨日まで書いてきたことと衝突するのですが、国語教師としての経験からは、小学校時代の漢字学習の時間を大幅に増やす必要を感じています。そうでなければ、これまで普通に使われていた熟語が、意味が通じないために会話では利用できなくなり、日本語から多くの語彙が失われてしまうことになるのではないかと思います。

日本語は、文字に偏った言語だと言えます。

博覧強記という言葉がありますが、文字言語が重視される文化の中では、ありとあらゆる本を読んで、その中味を覚えていると、それだけで偉い人ということになります。欧米風の教養人とはずいぶん違った考え方です。

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