西海市立S中図書館

2019年9月7日土曜日

新井紀子『AI VS. 教科書が読めない子どもたち』東洋経済、2018

私がこの本を買ったのは、2019年3月でしたが、その時点ですでに12刷。今も書店には平積みの山がいくつもありますから、相当売れているのでしょう。読んでみると、売れるにはそれなりの理由があるのだと分かります。


最初に、著者が率いた「東ロボくん」プロジェクトについて、詳しい解説があります。簡単に言うと、コンピュータに大学入試問題を解かせて、最終的には偏差値57余りという数字を出したそうですが、東大合格レベルには到達しなかったということ。

おそらく世間では反対のことが信じられていると思われますが、コンピュータは、当面人間を超えられそうにない、というのが著者の主張です。

生徒の読解力については、我が国はPISA調査で上位に位置していますが、それにもかかわらず、基本的な読解力が危機的な状況にあると、著者は述べています。その根拠となっているのは、著者が行った「大学生数学基本調査」や「基礎的読解力調査」です。

その「基礎的読解力調査」によれば、生徒の1/3程度が、基礎的な文章の読解ができないという結果だったそうです。また、あわせて行ったアンケートによると、読書習慣も学習習慣も、ここで測った読解力との間に相関は見られなかったということです。

現時点で、こうすれば読解力が上がるという方法は見当たらないそうですが、著者の作成した調査問題を使えば、生徒の問題点がどこにあるのかが明確になり、対策も可能だということです。

学力向上を目指す教育関係者は必読だと思います。

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