最新刊ではありませんが、学校の新着図書に入っていて、読んでみたら、とても面白かったです。
大半は、中村哲氏がラジオで話した内容を文字に起こした文章から成っています。言葉は飾られたものではなくて、氏の朴訥な人柄が偲ばれます。目の前の困っている人に対して、当たり前のことをしてきただけとおっしゃるのですが、その影響は数十万人に及んでいるそうです。
アフガニスタンで、24.3kmの用水路を、重機を使わず、江戸時代の工法を参考に、現地の人々の力で作り上げたという話を聞くと、人間の内部には、現代人にはほとんど忘れられていますが、とてつもない大きさの根源的な力が潜んでいるのだと思えてきます。
編集で気になったのが、たまに活字の大きさが変えてあり、一行の文字数も少なくなっている場所があったことです。編集者が重要と思ったところがそうなっているのだと思いますが、読み手としては、話し手の言葉に余計な解釈を加えず、そのまま提示してほしかったです。
最近は、大事なところをゴシック体にしたり、最初から傍線を引いている本も見受けますが、私は、そのやり方には反対です。必要ならば、線は自分で引きたいです。著者が自分でやったのならまだしも、編集者が勝手に手を加えて、著者名を「中村哲」とするのはおかしいです。どうしてもやりたかったら、編集者の名前を前面に出すべきではないでしょうか。

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