今年度、私は、漢字の読み書きが大の苦手である生徒を教えることになりました。当初は、自分の名前すら漢字でちゃんと書くことができませんでした。
その生徒が、漢字の練習帳をやっているときに気づいたことがあります。漢字の筆順が不安定だったのです。書くとき、1回目と2回目では、筆順が変わっていることもよくありました。
漢字の筆順については、私はそれほど重大なものではないと思っていました。書いた結果が正しければそれでよいという考えでした。しかし、この生徒の書く様子を見ていて、筆順は、漢字学習においてとても重要な役割を持っているのではないかと気づかされました。筆順が適当で、毎回変わるとしたら、漢字を覚えるのはこの上なく困難な学習になってしまいそうです。
一文字一文字が、それぞれ文字全体で一つの記号と見なされているとすれば、二千文字の漢字を覚えるという作業はとてつもない記憶力を必要とすることになります。部首のような意味のあるパーツの組み合わせだからこそ、同じグループの漢字を容易に覚えられます。筆順を適切に守ることで、当該の漢字を形成しているパーツの意識もきちんとできそうです。それが、漢字記憶に必要な脳のメモリー量を大幅に節約します。
ただし、これは、日本語学習のためには漢字の読み書きを覚えることが絶対に必要である、という前提に立ったときの話です。そもそも、そういう面倒なことはパソコンに助けてやってもらえばいいのだということになると、話はまったく変わってくると思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿