こんなことを国が言ったら、学校が萎縮してしまうのではないかといった懸念が伝えられていますが、そもそもここで教育基本法を持ち出したところに違和感があります。少なくとも、現場のやる気を大いに削ぐ発言であることは間違いありません。
学校が行う個々の具体的な教育活動の指針となるのは、まず学習指導要領です。この旅行を批判するとしたら、最初に述べるべきは、学習指導要領をどのように逸脱しているかということです。
基本法は、その名の通り、抽象的に理念を述べる法律です。最終的にはそこにつながるとしても、前提として、教育活動のどこに問題があったのか、学習指導要領に照らし合わせて、具体的な見解を示し、都道府県知事を通じて学校を指導するというのが最初に取られるべき方策ではなかったでしょうか。今日の学校教育にとって、重要な問題提起であるだけに、ただ事情を調査するだけではなく、現場と意見交換をしながら今後のあるべき方向性を探るといったやり方はできなかったのでしょうか。
事故が大きなニュースになったからと言って、そうした手続きを省いて、いきなりこれは教育基本法に違反していると外に向かって述べるのは、文部科学省が果たすべき役割を放棄してしまっているように見えます。問題があるとすれば、それはどこだったのか、丁寧に説明されなければ、改善もなされ得ないでしょう。
この学校は私学です。私学には、公立にはない独自の教育活動が許されているはずです。政治色の強い活動であったからといって、直ちに法を逸脱していると安易に言うことはできません。
こんな研修旅行はけしからんといきなり教育基本法を持ち出す文部科学省の姿勢には、保守的な与党の政治的パフォーマンスの色が強くにじみ出ています。こういうやり方は、学校教育を決して良くはしないでしょうし、それこそが憲法違反ではないかという論点も成立しそうです。
学校を萎縮させるとすれば、政治的なテーマを取り上げれば、教育基本法違反と言われかねないので、政治を外した無難なテーマしか扱わなくなるといった影響です。これは、すぐにでも出てきそうです(今日のニュースによれば、すでに出てきているようです)。学校というのは、お役所などと同様、アリバイ作りを大事にするので、無難に学校経営をこなそうと思えば、政治的な話題はそもそも取り上げていませんよ、というスタンスが大事になってきますから。
現行の学習指導要領では、生徒の主体性を育てることが重要視されています。それが、ただのかけ声でなく、真に教育現場の変革を求めるものであれば、学校や教師の側の主体性も強く尊重されるべきです。教師には上意下達を求めて、生徒にだけ主体的に行動せよというのは、あまりにも虫のいい要請だと思います。
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