高市さんは、女性初の総理大臣ということで、支持率も非常に高い状態が続いています。彼女を見ていると、私が教師になった40年くらい前のことを思い出します。ちょうど、元号が昭和から平成に変わる頃でした。
その頃はまだ、男性優位の世の中で、女性管理職は極めてまれでした。女性が管理職になるには、男性社会の論理に過剰に一体化し、飲み会の席でのセクハラは笑顔で受け流し(もちろん、内心は違っていたでしょうが)、男性以上に頑張り、場面によっては「男のように」振る舞うことが必要でした。
高市さんが睡眠時間を削って仕事に邁進していると自分でアピールする姿からは、当時の女性管理職が思い出されて、痛々しいものが感じられます。化石のような体質の議員だらけの中で、そうやって地歩を築き、トップに上りつめたのでしょう。
かつて、私は、しばらく教育委員会に所属しており、人権・同和教育や、「男女平等教育(当時は、まだそのような言い方がなされていました)」を担当していました。ちょうど、男女混合名簿(男子・女子をわけず、名前の順番だけで作る名簿)の導入が激しく議論されていました。校長会は、あからさまに反対はしませんでしたが、いろいろ屁理屈をこねて混合名簿では困ると言いつのっていました。
あれから30年ほど経って、さすがにどの学校も男女混合名簿を当たり前のように使っています。その後出てきた「男女共同参画社会」という言葉もすっかり定着して、現実の処遇はまだまだだとしても、考え方としては、生物学的な性差以外には、男女の間に差はないというのが常識になってきたと思っていました。
女性管理職も増えましたが、女性が、管理職だからといって、かつてのように肩に力を入れて突っ張らなくてもいい時代になってきたと思います。
ところが、昨今の皇室典範の改正議論の中で、我が国の一部には、男性優位の世界観がまだ根強く残っていることがあからさまになってしまいました。女性が天皇になったからといって、天皇家の血統が途絶えるわけではないのに、養子を入れてでも男子による相続が必要だと考えるのは、あからさまに差別的だと思います。高市さんにも、どうやらそうした考え方が深く染みこんでいるように思えます。
人々の考え方が変わるのには、長い時間が必要です。しかし、時代は急激に変化しました。伝統を守るという口実のもとに、天皇の跡継ぎ問題で、性別による異なった扱いが許されてよいはずもありません。
歴史上初めての女性総理大臣が、こんな女性差別的とも捉えられかねない法律を作ってしまったら、それこそ不名誉なことで歴史に名を刻んでしまいます。どうか、思い直して、初めての女性天皇誕生を可能とする改正の方向に舵を切ってほしいと願っています。
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