これは、もう、文句なしの五つ星です。
原題は"People Like US:Misrepresenting the Middle East"。
1998年から5年間、中東での特派員を勤めたオランダ人の著者による、ジャーナリズム批判。
帯には「今を生きる人のための『メディアリテラシー』」なんて書いてあるけど、これを読むと、メディアリテラシーという言葉が空疎なものに思えてきます。
だって、メディアが報じないことの中にこそ真実はあるという話なんだから。しかも、場所は、日本からも欧米からも遠い中近東の世界。報道に欠落した部分を埋める想像力やその根拠となるものを、私たちは持ち合わせていないのです。
つまり、メディアによっては、そこで実際は何が起こっているか知ることはできないということです。
みんな、たぶんうすうすとは感じていることでしょう?新聞やテレビの言ってることが、すでに描き尽くされた世界のイメージを繰り返しなぞっているだけだって。
ただ、そうしたマス・メディアの中からもこの著者のような人は出てくるんですね。私たちが、その人を見失わす、その人の言葉に耳を傾ける感性をなくさないでいることができさえすれば。
ところで、奥付に、2011年12月31日発行とあります。どうしても2011年のうちに出したい事情があったのかな?もうちょっと早く出てれば、じんぶん大賞の上位間違いなしだったでしょうに。
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