西海市立S中図書館

2013年2月23日土曜日

大澤真幸他『やっぱりふしぎなキリスト教』左右社、2012

講談社現代新書から出た『ふしぎなキリスト教』の続編。


『ふしぎなキリスト教』には批判もあるようですが、多くの読者という形の支持を得たということは、細かい事実の誤り(私自身はその正否を判断する知見を持ち合わせていません)を越えて訴える何かがあったということなのだろうと理解しています。

この本は、前著よりも思索の枠組みがいっそう明確になっているように思います。そして、宗教を論じながら、現代の世界全体をどのように理解していったらよいのかという確かな視点を示してくれます。

現代のアメリカに端を発するグローバリズムのよってきたるべき思想が奈辺にあるのか、これを読むと実によくわかる気がしてくるのです。

こうした、世界の宗教と思想の歴史全体をわしづかみにして論ずるようなタイプの著作に、細かい瑕疵があったとしても、それはこの本の価値をおとしめるものにはならないと思っています。

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