2011年9月23日金曜日
アレクサンダー・ハラヴェ『ネット検索革命』田畑暁生訳、青土社、2009
検索エンジンといえば、グーグル。私はもっぱらこれを使っています。
まず、画面がシンプル。そして、検索語彙も、全部を入力し終える前に見つけてくれるし、検索結果が他より期待のものに近いと感じます。
そんな優れた検索システムではありますが、著者によれば、そのことが含む大きな弱点もまた存在します。
例えば、ネットがロングテール(1月18日参照)の存在価値を高めたはずなのに、検索結果の上位にはそれは決して出てきません。ネット上の多くの情報が、こうして、顧みられないままになってしまうこと。強者の一人勝ちになってしまうこと。
筆者は、図書館と司書のことについても何カ所かで触れています。司書の仕事は、検索エンジンの限界を乗り越える方法を利用者に伝えるという意味で、今まで以上に重要になっているというのがハラヴェの考えです。
デジタルブックの登場で、紙の本が生き残れるかどうかという議論が盛んですが、これを読んで私は、本よりもむしろ図書館の方があやういのかもしれないと思いました。
図書館も、読み物や雑誌、実用書などの棚はむしろ大丈夫でしょうけど。学術的な内容の棚はどうでしょうか。論文を書くには既存の主要な論述にあたることが第一歩となります。
雑誌に関して言えば、発行コストの関係で、専門的な学術誌はすでに電子化されたものも多いそうです。
電子データの蓄積が進めば、パソコンに向かう方が、図書館で現物にあたるのよりはるかに精度の高い仕事ができるようになるかもしれません。そのとき、図書館は、学術に関しては、歴史的な遺物としての書籍の倉庫になってしまうかも。
目先の問題もあるでしょうが、その先を構想しないと、本当に未来の図書館は行き詰まってしまうのではないでしょうか。
ちょっとハードな内容ですが、そんなことを考えさせる一冊でした。
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