昨日・今日と、「学びの共同体」の冬季研究会で、伊豆半島の伊東温泉に来ています。
最後の締めくくりは、佐藤学さんの講演。佐藤さんもまた、毎年、時間がいくらあっても足りないくち。
今年紹介されたエピソードで印象に残ったのは、佐藤学さんのお父さんが、大学院まで英語を学んだにもかかわらず、生涯、表の世界ではほとんどそれを使わなかったという話。
一度だけの例外が、佐藤さんが幼い頃重い病気になったときのこと。進駐軍の医者にかけあって、貴重な抗生物質を手に入れたときだったそうです。
しかし、英語ができたので、実際に使うことはなかったけれど、ノーマン・メイラーの小説を読むことで、自分の世界を持つことができたから、英語を学んでよかったとお父さんは言っていたとのこと。
言葉を学ぶことや、本を読むことは、何か実用的なことの役に立たなくても、人が生きる上で欠かせないものになりうるんですよね。
いくつも紹介された授業風景の中では、ある研究授業で、班を作ろうというとき、机を動かそうとしなかった女子生徒の話が印象に残りました。
先生がその子に近寄り、机を動かそうとしたら、その子は先生に向かって「いつもはしないくせに(今日は研究授業だからいつもと違うことをするんだ)」と言ったそうです。それに対してその先生は、本当に怒って、「いつもやってるわよ」と答えたら、その子は机を倒して教室を出て行ってしまった。
その場で見ていた人たちはみんな困っていたそうですが、佐藤さんは30分したら戻ってくると予言。実際、その子は20分くらいで帰ってきて、先生に謝り、机を元に戻して授業に参加したそうです。
教師も生徒も、どちらも自分の尊厳を捨てていない。 とてもいい場面を見せてもらったと佐藤さんは強調してました。
うまく書けていませんが、佐藤学さんの話の中には、こうした強烈なエピソードがたくさん出てきます。すべて、佐藤さんが実際に立ち会った学校の風景です。
「学びの共同体」は、「こうしなければならない」という定式化された手段や方法を共有する集団ではありません。そのつど、子どもにとってもっともよい方策を探して柔軟にやっていこうという考えの人たちの、緩やかでかつ深いつながりを持つ研究会です。
授業だけではなく、研究会のあり方自体も、いつも模索を続けている会です。誰でも平等に参加できます。これからどんな風に展開していくのか、楽しみです。
次の夏季研究会は8月4日~5日。この時期はいろんな研究会がつまってて、出られるかどうか。
http://www.justmystage.com/home/manabi/kinkyuu-1.html
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