今日は勉強会の日。2年生の新しい国語教科書(来年度から使用)の続きを読みました。
二番目の単元は「視点を定めて」「文章の構成や展開のしかたに注意して、内容を理解する」。佐藤和之『やさしい日本語』(書き下ろし)と、プレゼンのやり方を組み合わせた単元です。
佐藤氏は、阪神・淡路大震災の経験などに基づいて、災害の際に日本にいる外国人への情報提供のあり方を研究してきた社会言語学者です。
本文では、災害時の外国人への情報伝達は、どのような表現で、どんな媒体によってなされるべきかが具体的に述べられていて、構成もわかりやすくなっています。
本文の後に、この文章を読む際の学習の目標として、「人に情報を伝えるためには、どのようなことが大事なのかを考える」と書いてあります。
本文の中では、「地震の際」に「外国人に向けて」という特殊な条件の話が、結論の最後のところで、いきなり一般化されています。
この辺が書き下ろしの欠点かもしれません。枠組みが決まっているなかに、無理矢理押し込んでしまってあるので、ちょっと読みにくい。「地震」「外国人」というところにひっかかって、授業の中で内容を一般化することが難しくなるかもしれないと思いました。
「印象に残る説明をしよう」というプレゼンの教材では、「社会や学校への願いを、漢字一字で表そう」という内容でプレゼンをするという例があがっていました。
あんまり生徒が喜びそうにないテーマです。もっと生徒の生活実感に即し、かつ、実際に生徒の学校生活に影響が及ぶようなことがらを取り上げたいと思います。
例えば、「修学旅行のとき行きたいおすすめ観光スポット」とか、「生徒総会に提案したい学校生活の改善案」といったプランがあがりました。
教師が作ったプレゼンによくあるのですが、とにかく文字が小さくて多い。「後ろの人にも見えるよう」というポイントが示されていますが、写真の実例では、いかにも小さな文字が使われていました。
プレゼンといえば、スティーブ・ジョブズのものをYouTube上で見ることができます。iPhoneのプレゼン、何度見ても感心します。
ジョブズのプレゼンの構成は、シンプルです。画面もいたってシンプル。それと、教科書には書いてないのが、ユーモア。彼我の文化の差を感じます。
話が少々それましたが、文字言語に偏った私たちの文化の中に、話し言葉を取り込んでいこうという意図が教科書(学習指導要領)にはあるようですが、なかなか実現は難しい。
この他に、漢字の学習や、熟語の構成といった短い教材が混ざっています。 漢字の学習のところは、現行の教科書に比べると、ずいぶん問題数を減らし、活字を大きくしてあります。
この会社は、こういったところにやたら難しい漢字を出したがる傾向があります。「肝胆相照らす」なんて例文が出てきますが、「肝心」とか「大胆」といった、わかりやすくてよく使われる用例を出してほしかったです。
「熟語の構成」は、漢字を学習する際に、強く意識しておかなければならない内容だと思いますが、授業で教科書のままの説明をしてしまったら、多くの生徒の頭にまったくとどまらなくなってしまうのではないでしょうか。大事なところだと思うので、これをどう料理するか、次への宿題にしました。
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