おっと、気がついたら今日が最終日。気合いを入れて開館と同時に入ったら、最後の日曜とあって、結構な混雑でした。
高校の頃、美術部の同級生にシャガールが大好きな奴がいたのですが、実は私にはまったくピンと来ない絵でした。
牛だの馬だの花束だの、しまいには人間までが空中に浮かんでしまって、そのイメージの豊かさに混乱させられていた?要するに、頭が固かったということでしょうか。眼ではなく頭で絵を見ていたのかもしれません。
現代国語の教科書の岡本太郎の文章に、ダ・ヴィンチの「ひとみは精神よりも欺かれることが少ない」という言葉の引用があったのですが、これがわからなかった。ひとみの方が騙されるだろうと思ってました。
馬齢を重ねて、絵はずっと素直に見ることができるようになった気がします。
テンペラで描かれた淡い色彩の大きな壁画の片隅に、ちょこっと描き加えられた木の枝なんかに妙に惹かれたりして。
若い頃の絵もどれも好ましかったですが、特に印象に残ったのは、亡命先のアメリカで奥さんが亡くなった後に描かれた戦後すぐの作品。
画面を黒い色が支配していて、でも線はやさしくなって、イメージはぐっと凝縮されて。
晩年のリトグラフの色づかいもよかったです。若い頃の作品から通して見ることで、晩年の有名な作品群だけ見ていたのではわからなかったものが、すごくよくわかった気がしました。
他には、常設展の方にあった、奈良原一高さんの軍艦島の写真、まだ炭鉱があった頃の島の空気が実によくとらえられていました。
軍艦島の廃墟が人気の観光スポットになっているようですが、訪れる前に、こういう写真見ていくと、同じ場所がきっと違って見えてくると思いますよ。
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