今は違いますよ。日本の近代文学の中で、これだけかっちりとした思想を背景に、足もとの現実と闘いながら、それを文学作品として表現しつくした人は他にいないんじゃないかと思ってます。
ただ、このアニメはどうも、いまいちの印象をぬぐえませんでした。
別に映画なんだから原作のストーリーを忠実に追う必要はないですが、 賢治の作品の一行一行からにじみ出ている彼の悲しみと現実を変革しようという鞏固な意志のようなものが、かなり薄まっていたように思います。特に後半部分。
じゃ、娯楽アニメとして楽しく見続けられたかというと、ちょっと展開ももたついて。 未来都市の飛行機械みたいなイメージは、すでにいっぱい描かれてますしね。
最後に流れた小田和正さんの歌「生まれ来る子供たちのたのために」。これ、ちょっと違うでしょう。
賢治の世界観は、「この国の明日」という言葉からは、はみだしてしまうのじゃないですか。もっとあたりさわりのない歌詞のにしておけばよかったのに。と、違和感を感じながら見終わるはめになってしまいました。
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