西海市立S中図書館

2016年11月24日木曜日

立憲主義

憲法は権力を縛るものだというのは、古い考え方だと、安倍総理が国会で発言していました。

古い考え方というのは、奇妙な意見です。近代的な国家の始まりがフランス革命からだとして、そこから二百数十年。近代をどう超えるかというのは、哲学思想にとっても重要な課題ですが、近代国家の後に来る国家の形を、まだ誰も明確に示すことはできていません。

日本も、その半分以上を近代国家としてやってきたはずですが、近代国家をやめようというのが安倍さんの考えなのでしょう。やめて祖先返りをしようと。

彼の危うさを見事に示す発言です。


一方、翻って、私たちは、近代の意味とか、立憲主義とか、人権といったものについて、これまできっちり学んでこなかったという気がします。

もちろん、誰もが、これらのことを、歴史や公民の時間に学んでいるはずですし、今でも、人権学習は、学校で学ぶ大事なテーマの一つです。が、どうも、教える側にとっても、教わる側にとっても、表層だけ学んで、身になっていなかったと思うのです。

だから、こんな発言が出てきても、反論はもちろんされますが、あまり驚かれない。

憲法に基づいて開かれる国会の場で、こんな発言が出てくるというのは、あまりにもひどい話ですが、私たちの国の近代が、思想としては、それだけのものでしかなかったということでもあります。

私たちの教育の根幹も、近代主義に根ざしていたはずなのですが、それは仮想のものにすぎなかったということになるのでしょうか。足もとをすくわれたような気分です。

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