西海市立S中図書館

2020年5月9日土曜日

吉本隆明のエピソード

島尾敏雄がフェリーで奄美に帰るとき、見送りに行っていた吉本隆明のことを書いた文章があります(どちらも故人ですし、ずいぶん前のことをあやふやな記憶で書いてます。勘違いで記憶している部分もあるかもしれませんが、話の大筋は違っていないはずです)。

見送り客が、用意していた見送り用のテープをどうしていいか分からずにいたとき、吉本隆明が、テープを持って、船の外壁をするすると登り、島尾敏雄に手渡して降りてきたというのです。

私は、大学生の頃、吉本隆明の著作にどっぷりつかっていましたが、そのエピソードを読んで、思想だけではなく、現実の行動においてもこの人のようにありたいと思ったのでした。必要があれば、躊躇せず行動すること。現実的な、地に足の付いた行動ができるような膂力を鍛えておくこと。

頭でっかちであった私が、実際にそんな努力をしたわけではありませんが、そのような姿をずっと自分の理想としてきました。ずいぶん歳を取ってから、少しはそのように行動できるようになった気がしています。虚仮の一念、です。

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