あまり世間の人は知らないでしょうが、教師の仕事の一つに、目標管理シートの作成というのがあります。年度ごとに、教科やそれ以外の分野、学校経営などについて目標を設定し、それについて年に3回、管理職と面談をしながら、目標の達成状況や計画の修正などについて話をするというものです。
お役所の仕事でもそうですが、学校でも、必ず求められるのが、目標に数値的なものを設定せよということです。
例えば、私は、今年、3年生の担当なので、受験指導のために、実践的な問題に取り組む時間を生み出すと書いたのですが、最初の面談の際、どれくらいの時間を使うのか書いてほしいと言われました。
ここ数年、義務教育の学校では、生徒の学力向上というのが大きな目標になっており、それに関わるような目標も必ず入れてほしいと求められます。当然、それを数値で表せということになります。
毎度のことなので、聞き流していますが、生徒の学力が向上したかどうか、客観的な数字で判断するのは、非常に困難です。率直に言えば、無理です。
例えば、現実的に私たちが持っているものとして、テストの点数で学力を示すとして、今回のテストと、次回のテストの点数の変化が、学力の変化を示していると言えるでしょうか。
もちろん、ことはそんなに単純ではありません。最低限、点数を、何らかの形で標準化しなければ比較できませんが、多くても百数十人くらいのサンプル数では、意味のある標準化は不可能です。
数値目標と言えば、コロナワクチンの接種数の目標は、1日100万人に設定されています。先日の党首討論で、管首相は、8日に目標を超えたと発言したそうです。ところが、実際は、60万人台しか接種されていません。官邸のホームページに発表されている数字がそうなっています。さらに、そのあたりをピークに、接種数はやや減少してしまっています。
目標の2/3にしか届いていないのに、目標を達成したと述べるのは、ほとんど詐欺です。成績と違って、接種の実績は、明確にカウントできますから、言い訳のしようもありません。
思えば、安倍政権の時代には、GDPの計算方法が変わって数字が増えたのを、あたかもアベノミクスの成果であるかのような言い方がなされていました。
優秀な官僚のみなさんや、国を率いる政治家たちによってこのような数字の扱いがなされていては、そもそも数字で目標を掲げることや、成果を評価することに何の意味があるのかと思ってしまいます。数字でうまく表現できているのかどうかすら怪しい学力については、なおさらです。
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