ここまでの事態は、見事に、プーチン大統領のシナリオ通りに進んでいるようです。周到にウクライナ周辺に軍隊を配置した上で始めた作戦ですが、でっち上げた共和国と自国を守るための正当な戦いだというのがプーチンの言い分です。
そして、他の国々が一斉にロシアを非難し、経済制裁を始めたというのですが、これまでのところ侵攻を止める効果はまったくないように見えます。国際的な銀行間の決済を停止するという、より強力な制裁もあり得ると思うのですが、EUは(おそらく台所の事情から)、そこまで踏み切れないらしいのです。
国連もまったく無力。一方、ロシアは、核兵器を持ち出して更なる脅しを掛けてくる始末。
20世紀は戦争の世紀で、その反省から、世界の趨勢は平和を希求する方向に向かうのかと思っていたのですが、そんなものは夢想に過ぎなかったようです。世界大戦から3/4世紀も経つと、そのとき味わった痛みや悲しみもすっかり忘れ去られてしまうのでしょう。
トランプ元大統領は、これらの経緯を見て、プーチンは天才だと言ったそうですが、そんなことはありません。過去を遡れば、私たちにとっては「いつか来た道」であり、素人の私にだって思いつくような陳腐な構想です。その絵に描いたようなシナリオに対抗する手段を、私たちは持ち合わせていないのです。
トランプ元大統領とプーチン大統領の共通点は、その陳腐で稚拙な論理を堂々と披瀝し、まったく恥じることのない厚顔無恥さではないでしょうか。
バイデン大統領がロシアを激しく非難していますが、ロシアの国内向けのテレビで、アメリカは、我が国のことをひどく非難するが、アメリカは、かつてありもしない大量破壊兵器を口実にイランに侵攻したではないかと言っていたそうです。確かにそんなことがありました。
これから先、私たちは何をなすべきなのか、残念ながら、私には何も思いつきません。マスコミを通して詳細に伝えられる事態の進行を、手をこまねいて眺めているだけ。これをきっかけに、我が国の保守派が、ますます軍備の拡張を訴えてくるだろうというのは、容易に想像できますが。
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