西海市立S中図書館

2019年4月14日日曜日

ピーター・ファレリー監督『グリーンブック』2018

ほどよいユーモアとペーソスに満ちた作品です。宮台真司さんと神保哲生さんがそろって「いい映画だ」と言うので観に行きました。日本では3月公開で、私の行った劇場ではすでに1日1回だけの上映だったので、そろそろ終了なんでしょう。

背景にあるのはアメリカの幾重にも重なった根深い人種差別感情ですが、差別と闘っていると自負して、あえて差別の強い南部で演奏ツアーをやっている黒人演奏家自身が、それまで触れることのなかった黒人音楽の魅力を発見し、孤独を乗り越え成長していく姿と、それを傍で見ながら自らの差別・被差別感情を見つめ直すイタリア人運転手の姿を描くことで、差別反対の単純な作品とは一線を画するものになっています。

一番泣けると思ったのは、最後の演奏会をキャンセルした後、その黒人演奏家が、貧しい黒人しか来ない場末のクラブで、何か演奏しろと言われてショパンを弾いた場面です。おそらく、ショパンなんか名前すら聞いたこともない人たちを、その演奏は静まりかえらせ、感動させました。そして、地元の演奏家とジャズの演奏を続けます。

笑わせるにしても泣かせるにしても、ぐっと抑制の効いた場面が続き、最初から最後まで心地よい時間を過ごすことができました。

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