西海市立S中図書館

2020年5月23日土曜日

古典の現代語訳

中学校3年生の国語教科書に、古今和歌集の仮名序が出てきます。有名な書き出しの部分。本文の他に、注釈と現代語訳もあわせて載っています。

ところが、この現代語訳を見ても、多くの生徒はなかなか内容がピンと来ないのです。

特に、「生きとし生けるもの いづれか歌をよまざりける」のところ。現代語訳では「生きている全てのものの、どれが歌を詠まないといえるだろうか」となっていました。

「どれが歌を詠まないといえるだろうか」というのは、確かに分かりにくいかもしれません。資料集などを見ると、もっとひどい訳になっているものもありました。

反語なんて回りくどい言い方は、現代の口語表現では、はやらないのかもしれません。ここは、意訳して「生きている全てのものは歌を詠む」という現代語訳にした方がいいと思います。

他に関連する例をあげると、例えば、子どもたちに、皮肉が通じにくくなっているように思います。二重化された言葉の意味とか、真意が表面的に言っていることと違うところにあるなんていうとき、それを読み取れない生徒が増えているような印象を持っています。

言葉は、単純で、分かりやすいものでなければならなくなってしまったようなのです。古典と呼ばれるものはもちろんですが、現代文であっても、漢語を駆使して書かれたようなものは、あまり受けがよくなくなってしまいました。

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