新しい教科書 続々

「新しい教科書」と題して、教科書の新しくないところばかり述べていますが、結局のところ、文学作品を教科書に載せて、何を生徒に求めようとしているのか、ということが問題です。魯迅の「故郷」が作品としてどんなに優れていたとしても、それを授業で扱うことはまったく別の問題です。

さて、２年生の教科書の定番教材、太宰治の「走れメロス」。この小説の、作品としての評価はともかく、私は、教科書に載せるにはあまりふさわしくない作品だと思っています。

太宰が才能のある作家だったことはよく分かるのですが、この作品は、そのほとばしるような才能が勢いに乗って、一気に書き上げられたものではないかと思います。

その勢いの爽快感のようなものが味わえれば十分で、細かいところをああでもない、こうでもないとつついても仕方のない作品ではないでしょうか。