私がブックトークで取り上げた本を、一冊ずつ紹介していきたいと思います。最初は森達也さん。
副題に「増補新版 世界を信じるためのメソッド」とあります。2006年刊の元の版もなかなかよかったですが、内容は大幅にアップデートされています。15年も経つと、世界の様相がすっかり様変わりしてしまっていることが分かります。
最初の方で、遠い世界で起こっている様々なことが、日本にいる私たちにも無縁ではないことが述べられた後、こんなことが書かれています。
「いろいろ世界を知らなくてはいけない理由を書いたけれど、僕の本音はもうひとつある。ここに書くことが恥ずかしくなるくらいに単純だ。いろいろ考えたけれど、やっぱりこれがいちばん大きい。
知りたいんだ。
今世界で何が起きているのかを。直接の関係がないとしても、でも同じ時代に同じ地球で暮らす人たちのことを、僕はできるだけ知りたい。」
確かに、いい歳の大人が言うにはちょっと恥ずかしい内容かもしれません。でも、こうした記述によって、この本の著者が信頼に足る人であることが分かるような気がします。
アメリカのトランプ大統領の出現、コロナウィルスの蔓延といった前代未聞のできごとで、様変わりしてしまった世界に生きていくための具体的な処方箋として、若い世代にぜひ読んでもらいたいと思う一冊です。
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