西海市立S中図書館

2013年4月21日日曜日

黒田三郎『定本黒田三郎詩集』昭森社、1976

箱に「定價 參阡五百圓」とあります。こんな漢字がまだ使われていたんだと、つまらないところに感慨を覚えます。大学2年生の頃買ったものですが、当時、大学の授業料は月額3千円(!)でした(歳がばれる)。


赤い鳥というグループが「紙風船」を歌にして大ヒットを飛ばしたので、その頃、黒田三郎の社会的評価は絶頂にあったかもしれません。多くの教科書にも取り上げられました。今は、教科書ではほとんど見なくなりましたが。

巻末に詳細な年譜がついてます。昔はあまり年譜に興味なかったですが、歳取ると、これが面白くなってくるから不思議です。

黒田三郎は、海軍軍人の父の子として呉に生まれ、その後鹿児島で少年期を過ごしています。東大卒業後、戦時下のジャワ島へ。終戦後、インドネシア軍のもとで強制労働に従事し、帰国できたのは、1946年5月だったようです。その後NHKに入局。

そういえば、詩人の鈴木志郎康さんもNHKにいたのでした。詩人を雇うのも、NHKの一種の文化事業?

9冊の詩集と、その後この本が出るまでの作品が収められていますが、今読んでも、やっぱり、『ひとりの女に』とか、『小さなユリと』といった極私的な(鈴木志郎康さんの用語です)作品に惹かれます。

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