西海市立S中図書館

2020年5月15日金曜日

長崎県の公立高校入試問題(国語)

今年度入試の問題から、ある問いを引用します。答を考えてみてください。


問四 ―線部②について、このときの「凛」の心情の説明として最も適当なものを次から一つ選び、その記号を書け。

ア 情けない一面を見せた吉村先生を意外に思い、本当に自分に本心を語ってくれるのか、先生を試そうと思っている。

イ 自身の弱さを率直に話してくれた吉村先生に親近感を覚え、踏み込んだ質問をしても答えてくれそうだと思っている。

ウ 普段と違う一面を見せた吉村先生に自分への真剣な思いを感じとり、自分も弱さを見せなければならないと思っている。

エ 吉村先生の話から、先生が自分の弱い部分を隠していたことを知り、今なら先生をやり込められそうだと思っている。


問題の本文を示していませんが、ここだけ読んでも正解が出せると思います。

まず、選択肢のアとエには、教師を試したりやっつけようとしたりする、けしからん生徒が出てきます。こういう生徒は、まず正解には出てきません。また、教師の方も「情けない」とか「隠していた」とか、あまりぱっとしない姿に描かれています。この二つは絶対に正解になりません。

残った選択肢のイとウを比べてみると、ウの後半部分の意味がよく分かりません。このように、文自体に疑問点があり、読んで意味が分からないものは、正解にはなりません。

結果イが残ります。入試問題に出てくる小説には、生徒と同世代の人物が登場してくることが多いですが、ここだけ読んでも感動できそうです。偉そうに構えていない実直な教師と、そんな先生をすっかり信頼している生徒という、絵に描いたような師弟関係が描かれています。

今年度の入試問題には、こういう、本文を読まなくても答えられそうな問いがいくつかありました。これは、いったい何を試そうとした問題なんでしょうか。

入試の翌日には、新聞の各紙が、問題と解説を載せます。みなさん、毎年、決まり文句のように「良問だった」と書くのですが、実際はそうでもありません。ちゃんと読んで書いてますか?特に、今年の問題は首をかしげるところが多かったです。

確かに、選択肢を的確に読む力がないと答えられませんが、こういう問いに正解を出せるかどうか、わざわざ試す意味が分かりません。

今までのような形での入試をしなくても構わないだろうと考える所以です。

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