西海市立S中図書館

2025年9月12日金曜日

『遠い山なみの光』石川慶監督、2025

仕事が短時間になり、平日に街に出る機会も多くなりました。意外だったのは、平日の昼間でも、街には人がたくさんいるということです。映画館も人気で、朝からチケット売り場には長い列ができていました。

カズオ・イシグロ氏の原作はいささか難解で、ちゃんと読めたという自信はありませんが、この映画を観て、いくつか分かったことがありました。原作よりだいぶ分かりやすくなっていると感じました。

今日は、たまたま、地元のNHKが製作した、この映画にまつわるカズオ・イシグロ氏のインタビュー番組を放送していました。原作者がここまで映画化に関与していることに驚きました。氏は、この映画は、原作小説の今の世代に向けての語り直しだと言っていました。

別のところで、イシグロ氏は、映画と小説はまったく別物であるとも語っていました。映画を作るに際して、原作を忠実に再現しようとするからつまらないものになるというのが氏の考えのようです。

いろいろ書きたいこともありますが、まだ上映が始まったばかりなので、これくらいにしておきます。見応えのある作品でした。ただし、分かりやすくなったとは言っても、内容がずっしり重いので、大ヒットするようなことにはならなさそうです。

2025年9月9日火曜日

AI作文

近ごろ、求職のためのオンラインのアプリやウェブサイトが数多くできています。多すぎて、どれを選ぶか決めきれないくらいです。私は、この4月から、仕事が非常勤になり、勤務時間がとても短くなりました。 それはつまり、収入が激減したということでもあります。そこで、いくつかのサイトに登録してみました。その中の一つは、簡単な履歴の他に、職歴の記入を求めてきましたが、自分で書かなくても、履歴に基づいてAIが職歴を書いてくれました。

以下、その引用です。


■■ 職歴概要  

私は国語教師として20年以上にわたり、中学校を中心に教壇に立ち、多くの生徒の学習指導に携わってきました。具体的には、学習指導・教材作成・クラス運営などの業務を担当してきました。

具体的には、  

・学習指導:生徒一人ひとりの理解度や興味に合わせた指導を行い、学力向上に寄与した。  

・教材作成:効果的な授業を行うために教材や問題集を作成し、生徒の理解度を深める工夫を行った。  

・クラス運営:クラスの雰囲気作りや生徒の心のケアに努め、クラスのまとまりや学習意欲の向上に貢献した。

これらの業務を通じて、私は生徒の個別ニーズに対応するコミュニケーション能力や、計画的な指導スキル、問題解決能力を磨きました。

■■ 経験・スキル  

・教育に関する深い知識と実践的な指導スキル  

・教材作成や授業設計における企画・運営能力  

・生徒や保護者との良好なコミュニケーション能力  

・クラス運営や生徒指導におけるリーダーシップ  

・教育現場で培った問題解決力と柔軟な対応力

■■ アピールポイント  

私は20年以上にわたり国語教師として、多くの生徒と向き合い、彼らの学習意欲や自己理解を促進してきました。この経験を通じて、相手の個性やニーズを見極め、それに合わせたコミュニケーションや指導を行う力を身につけました。生徒の成長を支えることに喜びを感じ、常に教育の質向上を追求してきたため、柔軟な対応力や問題解決能力も高めてきました。これらのスキルは、教育だけでなく、さまざまなビジネスシーンや人と関わる業務においても大いに活かせると確信しています。さらに、教材作成やクラス運営の経験から、企画力や組織運営能力も培っており、チームや組織の一員としても積極的に貢献できる自信があります。今後は、これまでの教育現場で培ったコミュニケーション力や計画力を活かし、多様な職場で価値を提供していきたいと考えています。


以上です。私が書いた履歴は、アンケート形式で記入するもので、あっという間に書き終わりました。教師歴が20年以上となっているのは、選択肢の最長がそうなっていたからです。それだけの内容から、数分と待たせずこれだけの職歴を作りあげたのには、かなり驚きました。満点とは言いませんが、これくらい書けば、一般的な職場なら合格点がもらえるでしょう。

数年前から、学校の仕事にもAIを活用するよう推奨されていますが、義務教育の学校の教員の作文力のレベルにも十分到達していると言っていいでしょう。授業以外の仕事を軽減するには、便利な手段ができたものです。

しかし、何といっても、これは、無から有を生んだと言っていいくらいのでっち上げです。もっともらしいことが書いてありますが、私個人の現実とは大きな隔たりがあります。最初の目的だったはずの、採用のための判断基準には、私の側から言えばなり得ないものです。これで済むのなら、そもそも職歴の提出の意味がなくなるでしょう。

産業界でも、AIの活用は喫緊の課題のようですが、これで果たして世の中がよくなるのかどうか、よく分からないというのが正直な感想です。よくならなくても、儲かればいいということなのでしょうか。

ちなみに、仕事の方は、数多くの求人が届いていますが、私の希望にかなう条件のところはまだ見つかっていません。

2025年8月31日日曜日

学校における評価のあり方について

現在、中学校では、通知表や指導要録に、各教科ごとの5段階の評定と、三つの観点別に3段階の評価がなされています。文部科学省によれば、三つの観点のうちの一つ、「主体的に学習に取り組む態度(旧学習指導要領では、関心・意欲・態度と呼ばれていたもの)」の評価を、次の学習指導要領からは、評価の点数から外すことになるそうです。

簡単に言うと、それは数値的な評価になじまないから、ということのようです。それはその通りだと思いますが、それなら、残りの二つの観点はどうでしょうか。「知識・技能」と、「思考・判断・表現」ですが、特に、後者については、評価するのはそんなに容易なことではありません。その生徒の、思考力の客観的な到達度を、どうやって点数化すればよいのでしょうか。

例えば、テストで、論理的な思考力を測ろうとしたとします。生徒は、限られた時間内で、出題者の意図を正確に汲み取り、出題者が求めている答を書かなければなりません。論理的な思考力を試そうとしながら、得点には別の要素が大きくからんでくるのです。まして、一度授業で示された問いであれば、記憶力が大きな助けになってしまい、その生徒の思考力を正確に評価することなどできません。また、じっくり考えて答を出すタイプの生徒や、文章を早く読むのが苦手な生徒も、テストでは大いに不利になります。

テストで比較的測りやすいのは、「知識・技能」だけということになりそうですが、実はこの点にも議論があります。知識というのが、水を注いで桶に水を貯めるように、少しずつ子どもの脳に蓄積されていくものであれば、ある程度測定も可能かもしれませんが、実は、ことはそんなに単純ではないようです。

記憶というのは、状況に支配されている側面があって、テストという特殊な場面で子どもがその知識を取り出せなかったことが、必ずしもその子どもにその知識が欠けていることの証明にはならないらしいのです。

そもそも、子どもの学力を1点刻みで測定して序列を付けるということ自体が、理論的な根拠に基づいてなされているわけではありません。特に、入試などのように、順位が重要になってくる場合、テストの点数で序列をつけることが公平で適切なやり方だとずっと信じられてきたというだけのことです。

今のような入試を行うためには、全国で統一したカリキュラムも絶対に必要です。その上、どの学校も、入試があるからと、カリキュラムの内容を網羅的に取り上げ、ひたすら子どもに覚え込ませるような授業に傾きがちです。こうして、学校教育が、限りなくつまらないものになっていきます。

いずれにしても、そもそも目に見えない能力や学力を正確に測るのは困難で、テストの点数という間接的な指標を使ってもっともらしい数字をはじき出しているというのが実情です。テスト以外の手段で評価することもありますが、提出物以外で、授業中にそうした評価がちゃんと行えるのは、せいぜいクラスの規模が十数名まででしょう。学校教育の質を根本から変えていくためにも、ここらで、思い切って、評価のあり方を全面的に見直すべきだと思います。

2025年8月30日土曜日

電動工具の選択

今回、床置き書架を作るに当たって使った電動工具は以下の通りです。

スライド丸ノコ(マキタ、100V)
ビスケットジョイントカッター(マキタ、充電式、14.4V)
ドリルドライバー(マキタ、充電式、14.4V)
電動ジグソー(HiKOKI、100V)
電動サンダー(マキタ、100V)

マキタもHiKOKI(旧日立工機)も、日本の電動工具の代表的なメーカーで、工具を選択しようという場合、そのどちらかにしておけば、まず間違いはありません。

以前、ジグソーやサンダーは、安価なサードパーティー製を使っていました。本体の価格が一桁違うのです。安価な分、振動など使用時のストレスが大きくなります。若いときは、それを自分の方のパワーで乗り越えていたのだと思いますが、歳を取ってみると、使い心地の差が大きく感じられるようになりました。

HiKOKIのジグソーは、昨年学校で買ってもらった最新型です。ブレードの取り付けがとても簡単になっており、使い勝手がよかったです。


かつて、RYOBIというメーカーが初心者向けに手頃な工具を出していましたが、気づいてみたら、京セラ傘下に変わっていました。手始めに、自前の工具を手に入れてやってみたいという向きにはお勧めです。

最近は、アイリスオーヤマなどの一般家電メーカーが、電動工具にも進出しているようです。ホームセンターには、それぞれ独自ブランドの工具が置いてあったりします。残念ながらどれも使ったことがないので、コメントできません。選択肢が増えすぎて、かえって選びにくくなったかもしれません。あくまで、たまに日曜大工をするというユーザー向けだと思いますが、そういう用途なら、どれを選んでも問題ないでしょう。

充電式工具もラインナップが格段に増えてきました。電圧が36Vとか40Vというのは、プロ用と思っていいと思います。私は、二十年くらい前に、マキタのインパクトドライバー(14.4V)を買いました。二十年経っても、外観はくたびれてきたものの、まったく問題なく使えています。一方、数千円のサンダーやジグソーは、何台も壊しました。

そのバッテリーが使えるので、ビスケットジョイントカッターも14.4V仕様にしました。ドライバーとしてはまったく問題ありませんが、ジョイントカッターとしては若干パワー不足を感じました。現在、マキタのラインナップは、18Vと40Vが主流のようです。

ジョイントカッターのように大きなパワーを要する工具は、100V仕様にしておけば、充電式より安いですし、パワー不足を心配しなくてよくなります。例えば、コンクリートの壁に穴をあけたければ、100Vのドリルを選択する方がいいでしょう。

2025年8月29日金曜日

部品加工(相欠き継ぎ)~完成

床置き書架を作るにあたって、1×4のSPF材を使いましたが、中央の仕切り板だけは、9mmの厚さの合板を使っています。1×4材の厚さは19mmで、仕切りにするにはちょっと厚すぎると考えたからです。

棚板と、中仕切りの板の接合は、相欠き継ぎというやり方を使いました。棚板にかかる書籍の重さを、仕切り板で支えるためです。板に、相手の板の厚さの溝を切って、組み合わせます。



溝は、正確に切る必要があるので、やや面倒な工作になります。スライド丸ノコで2本切り込みを入れ、残りはノミを使って形を整えました。きつきつの溝幅で、紙やすりで削って調整した後、木槌でたたいて組み合わせました。たたくときは、当て木を使います。

さらに、側板と底板を取り付け、背板を付けて完成です。2日間かかりました。背板は、合板の予定でしたが、手持ちのものではサイズが少し足りなかったので、ここもSPF材を使いました。



各部材は、切り出した後、組み上げる前に、電動サンダーで表面を削りました。組んだ後だと、隅の部分が削りにくくなります。こうして、詳しく製作過程を紹介してみると、この書架は、初心者向きではないという気がしてきました。

SPF材は、値段が安くて、色もきれいなのですが、節が多く、板に多少ねじれがあったりします。そこは、力技で押さえ込みながら作っています。感覚的な言い方になりますが、少しのねじれは何とかなります。ねじれが大きくなると、その板を使うことを諦めることになります。1本ずつそれを確認しながら購入したいのですが、業者に納入してもらうときは、お任せになります。

部材を固定するネジは、スリムビスと呼ばれるタイプのものを使っています。柔らかいSPF材だと、下穴をあけなくても使えるので、製作時間が短縮できます。ただ、ねじ込む先に節が来ると、うまくビスが入っていきません。そういう場合は、下穴をあけるか、または、ネジの位置をずらすことで解決しています。いずれにしても、作業に慣れないうちは、常に下穴をあけて作業を進めた方が失敗しにくいです。

材料の購入に関しては、市費で買える納入業者がSPF材を取り扱ってくれるかどうかが問題です。これは、個別に当たってみないと分かりません。扱ってくれない業者の方が多いと思います。同じくらいのサイズだからといって別の種類の板を注文すると、極めて高額になる場合があるので、注意が必要です。PTA予算から出してもらうなど、現金で支出できると、自分で買ってこれるので、やりやすいです。

2025年8月28日木曜日

板の接合~ビスケットジョイント

床置き書架に使ったのは、89mm(幅)×19mm(厚)の1×4材(SPF材)です。書架に使うには幅が足りないので、ビスケットジョイントというやり方で2枚をつなぎました。材料費は、集成材を使った場合の1/3以下です。


この方法は、特別なテクニックは不要ですが、ビスケットジョイントカッターという特殊な工具が必要です。これも高価な道具で、趣味でたくさん木工をする人以外には必要はないでしょう。これは私物で、最近はあまり使っていませんでしたが、すでに買ってある材料で作るために、久々の登場となりました。


板の側面に、楕円を半分に割った形の溝を掘り、そこに木材のチップを固めて作ったビスケット(見た目はまさに食べ物のビスケットです)を入れて、板と板を接合します。水分を多く含む木工用ボンドを使うことで、このビスケットが膨らみ、接合の強度が増えます。


しっかり接着するために、1枚につき3か所をハタガネで締めて圧力を掛けています。その際、力が偏らないように、ハタガネは表と裏の両面から使います。一晩置けば十分でしょう。

以前は、図書館家具を低予算で作ることを主眼にしていたので、この方法をよく使いましたが、必要な手間と時間を考え合わせると、最初から必要な幅の板を買って作った方がいいような気がしています。

2025年8月27日水曜日

床置き書架の設計

今回の製作にあたって、下のような設計図を描きました。用紙は5mmの方眼で、10分の1のスケールで描いています。この縮尺が、数字を間違えにくいのでお勧めです。どのように設計を進めたか、詳しく書いていきます。

だいたい、いつもこの程度の簡易的な図を描いて作っています。見にくいと思いますが、これくらいでやっているのだという雰囲気を分かってもらえればと思います(写真をクリックすると、多少大きくなります)。

まず、置く場所の制約から、高さは1m程度としました。窓枠の高さが1mなので、そこからあまりはみ出さないようにという考えです。棚の高さは、下の方から、A4用(32cm)1段、B5用(28cm)2段、そして、天板のない最上段としました。

A4サイズの本は少ないのですが、これがないとA4は最上段に置かれてしまいます。それは避けたいですし、職員室の限られたスペースの中で別置は現実的ではないという事情もあって、A4用を入れることにしました。

B5サイズの本は結構あったので、2段分用意しました。全体の高さを抑えるなら、1段だけにするという考え方もあるかもしれません。

棚の高さと数を決めたら、棚板の厚さも考慮して、側板のサイズを決めます。平湯モデルに倣って、8度傾きをつけています。そのとき、斜めの辺の長さはどうなるのか、計算するしかありませんが、私は、もっぱら高度計算サイト(https://keisan.site/)というのを利用しています。直角三角形の角度一つと高さを入れれば、斜辺の長さがすぐに出てきます。小数点以下の細かい数字も出てしまいますが、1/10mm以下の数字は、無視しても実用上問題ありません。最終的に、高さは、1115mmになりました。背板の部分(斜辺)は、1126mmです。

棚の幅は、これも場所の制約があるので、800mmとしました。側板2枚分の厚さをそこから引いて、残りが必要な棚板の幅となります。細かい仕事をするなら、側板と棚板を相欠き継ぎとか、ほぞ継ぎという方法でつなぎますが、私は、もっぱら、ベタ付けという簡便なやり方を使っています。強度は、接着剤や、ビスの長さで補うようにしています。

とは言っても、800mmの長さがあると、棚板が書籍の重みでたわんでくるかもしれません。そこで、中仕切りを入れ、これは縦と横、両方の部材をかみ合わせるようにして(相欠き継ぎ)、重さを支えることにしました。

これだけ決まると、必要な部品の大きさと数が分かります。図面の右側のメモは、必要な板の数を記したものです。これに従って板をカットしていきます。

スライド丸ノコを使う場合、1本切った後、その板を定規代わりにすると、極めて正確に他の部品を切り出すことができます。この正確さは、強度にも大きく関係しますし、作業のスピードも大幅にアップします。高価な工具ですが、これがなかったら、私はここまで数多くものを作れなかったと思います。(自分では持っていません。学校のものです。)