西海市立S中図書館

2011年12月16日金曜日

佐世保市立E中学校~学びの共同体公開研究会(2回目)

9月27日に続いて、またこの学校の公開授業研究会を見せてもらいました。今回は国語の授業。

野坂昭如の「僕の防空壕」などを読んで「戦争と平和について考え、より良い未来について提言を述べる」という単元。

この授業を観た秋田の「教育臨床研究所わいわい」副代表の小笠原幹朗さんは、「最近の国語の授業は変だ」と言ってました。特に小学校で。

言語活動が自己目的化してしまって、肝心のテキストの読みはどこかへ行ってしまっているのではないかという疑問です。

そう言われれば、思い当たる節、あるなぁ。

というか、私なんかも、活動を通して学ぶのが、国語の真正な学びだと思ってやってきたので。

今日の授業では、生徒の読みは、主人公の少年が、戦死した父の残した防空壕のおかげで父の不在の悲しみから遠ざかることができたというテキストの巧みな設定の周辺を経巡っていたのですが、そのことと、「より良い未来への提言」という単元の目標との間にはずいぶん距離があって、むしろ生徒がやっていたように、テキストの読みを深めることが、国語科の第一義の目標ではないのかという小笠原さんの指摘でした。

それは、学習指導要領の「言語活動」の位置づけに対する疑問でもありました。

国語のことばかり書いてしまいましたが、それ以外にも子どもの学びのあり方についていろいろ考えさせられる指摘がたくさんありました。

中でもいちばん印象的だったのは、OECD教育局指標分析課長アンドレア・シュライヒャー氏の言葉の引用。


PISA調査が求めている力は、「テストを解く力ではなく、未知の世界を学び続ける力」なんだということ。

学力低下なんて騒いだり、また世界のトップになんとか追いついたとか、一喜一憂している人たち、まったく見当外れなんじゃないですか。

4 件のコメント:

  1. 小笠原幹朗です。昨日、秋田の明徳館高校で座談中、School Library Roverに私の話したことが掲載
    されていると知らされて、さっそく読ませていただきました。
    学校図書館のことを中心に、ずいぶんと充実した内容ですね。
    さて、『私なんかも、活動を通して学ぶのが、国語の真正な学びだと思ってやってきた』
    と書かれていますが、この考え方について教えていただけるとうれしいです。

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  2. コメントありがとうございます。
    解説がないとわからない書き方だと思います。
    簡単に言えば、文章の解釈を中心とした、教師の講義形式の「伝統的な」授業に対して、生徒の活動を中心にすえた授業作りをやってきたつもりだ、ということです。
    詳しいところは別途メールしました。

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  3. facebookに参加していない先輩から、私のbookを見たいという要望に応えようとしているうちに、わたしのことを書いているブログを見つけた。佐世保の学校での参加者が記述しておられた。うれしい(実は再)発見。2011年12月のことだったねえ。

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  4. コメントありがとうございます。ご無沙汰しています。その後、長崎では、学びの共同体に参加する学校が出てきて、喜んでいるところですが、やっぱり義務教育の学校で本格的にやってほしいです。というのも、学力低下を言い訳に、現場は後戻りしているふしがあるからです。

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